――まず両口屋是清が和菓子の老舗として目指しておられることからお聞かせください。
篠田 私ども両口屋是清は「お客様に安心を、お客様から信頼を」を目指しております。私どもが考えているのは、お客様が中心であるということです。まず商品の安心として最高の技術と素材の良さ。おいしさの追及だけでなく、環境に配慮した社会的な責任。お使い物としてお買い求めいただいた時の安心感。お客様に安らぎを感じていただける販売サービス。そういったことをクリアしてお客様の信頼を得ることを目指しています。それがすなわち私どもの会社の発展であり、社員の喜びです。どなたかが「善の循環」とおっしゃいましたが、まさしくその通りだと思います。
ー一お茶とお菓子は切っても切れない関係にありますが、どちらも伝統を守ることと、新しいことへのチャレンジという難しさがあると思いますが。
篠田 和菓子においては基本的には本来守らなければならない幹の部分を崩しては絶対にだめだと思います。ここまではいいけれど、それ以上はいけないという範囲があります。でもその幹自体が段々広がってきました。もし我々が範疇を出ようとしたら、経験のある人達が戻してくれます。それが伝統のある菓子屋の強みだと思います。だからこそ前へ進めるのです。そこにじっとしていたら何も変わらないどころか、時代が前へいけば後退していきます。両口屋是清が今まで続いてきたということは、前に出る努力をしてきたということだと思います。
松尾 ところで東京の表参道にオープンしたアールスタイルの評判はいかがですか。
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篠田 若い社員を中心にプロジェクトを組み、準備期間もあまりないままにスタートしましたが、マスコミなどでも取り上げていただいたお陰で順調です。
最初は不安でしたが、ある程度の評価を得たことで自信が出来、次の新しいことにチャレンジしようという意欲につながります。その自信が会社の若い人に得られたことは非常に心強いと思います。
松尾 そうですね。周囲の反対にもめげずに進んでいく最大の力は何かというと、次、また次とステップアップしていくことです。ところが私は孤軍奮闘しているうちに力尽きてしまう(笑)。だから形に表していく前に意識革命をしていく必要がありますが、みんなの意識を変えていくのはなかなか難しいですね。アールスタイルにしても、オープンした限りはステップアップしなければならない。昔からの意識を持った方をどのように説明していかれるか、そのあたりをお聞きしたいですね。
篠田 私自身は何もしてないですね。もしやったことがあるとしたら、若い人の感性に任せて口をださなかったこと。あまり口をだすとやろうとしていることがだんだん歪んでいってしまう。
意識は簡単には変えられません。自分で気がつかないと変えられないし、体感しないと変わらないと思います。その点ではお茶の世界は難しいかも知れません。しかし松尾流の家元は宗匠1人なんですから、思うようにやられることが一番です。あまりにはみ出したら周りが修正してくれますよ。宗匠がやろうとしておられるのが花開くのは、ひょっとしたら次の代になるかもしれませんが、いずれ必ず努力が報われると思います。
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